しかし、「実はホッパーとシュートの違いをあまり分かっていない、、」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事では、特にそういった方向けにホッパーの特徴、シュートの特徴、そして両者の違いについて詳しく解説します!
- ホッパーとは
- シュートとは
- ホッパーとシュートの違い
- ホッパーの製品事例の紹介
ホッパーとは
ホッパー(英語:Hopper)とは、主に食品や医薬品、化粧品のいわゆる「三品産業」の製造ラインをはじめ、化学・建設業界などでも使用される粉粒体の排出装置です。
ホッパーには3つの特徴があります。
①投入口が広く排出口が狭い漏斗状構造
ホッパーの形状は角錐や円錐形がほとんどで、粉粒体の投入口が広く排出口が狭い、漏斗のような構造をしています。
>>>>ステンレスホッパーの板金加工・溶接における3つのポイント
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②排出量・排出タイミングの調整が可能
ホッパーは、小麦粉や錠剤、生コンクリートなどの投入物を一時的に保持し、指定の位置・タイミングで排出する役割を果たします。
ホッパーとよく似た製品としてサイロやタンクがありますが、ホッパーは投入物の保持が一時的であるのに対し、サイロ・タンクは投入物の貯蔵量が大きく貯蔵時間も中長期にわたります。
例えば食品工場では、コンベヤによって一定間隔で搬送されるトレイに対し、粉粒体を定量充填するホッパーが活躍しています。
③粉粒体がスムーズに排出される工夫が施されている
ホッパー内部では、投入物の重みや摩擦・静電気、内壁の表面不良など様々な原因から、粉詰まりや内容物の残留が発生することがあります。
当然、こうした排出トラブルが起こらないような工夫が施されています。
その一つが、こちらの偏心ホッパー(偏芯ホッパー)です。
偏心ホッパーは、左右非対称の偏心形状で、排出性に優れた構造になっています。
また、排出口付近の粉詰まりを解消する方法として、ノッカーやバイブレーターにより物理的衝撃・振動を与えるというものもあります。
シュートとは
シュート(英語:Chute)は、フィーダやコンベヤから流れてきた搬送物を滑らせ受け流す、「滑り台」のような機器です。形状は、ホッパーと同様に円錐や角錐が多いです。
シュートのスペルに少し違和感を覚えた方がいるのではないでしょうか。実は、シュートの語源はフランス語の「落下」です。同じ語源の言葉として、パラシュートや航空機・学校の非常用脱出シュートなどがあります。シュートのことを滑り台と例えたのも、ご納得いただけるかと思います。
特に詰まりやすい粉粒体を滑らせる場合は、滑り角度の最適化やバイブレーターなどの滞留対策、そして滑りやすい表面性状であることが重要になります。
ホッパーとシュートの違い
シュートホッパーという言葉もあるように、ホッパーとシュートは使用される環境がほとんど同一で、且つ非常によく似ています。
一概には言えませんが、ホッパーとシュートの違いは、”ワークを一時的に保持するかそのまま受け流すか”という点にあります。
それ以外の、粉詰まりや滞留が起きやすいという特徴や、それらの対策として排出口の角度や滑り角度の最適化、ノッカーやバイブレーターなどを取り付けて粉粒体トラブルを防ぐ、溶接後のビードカットや表面処理による滑り性を向上させるなどが施される点は共通です。
<ホッパーとシュートの模式図>
ホッパーの製品事例の紹介
当社が過去に製作したホッパーをご紹介いたします。
①食品加工機用 変形ホッパー
こちらは、食品加工機械に付帯する、へルール接続部を備えた半円型のステンレス製変形ホッパーです。
こちらの変形ホッパーは、通常の曲げ加工では成形が難しいため、職人がハンマーを用いて成形を行いました。ハンマーで叩いて成形を行うことで、通常の曲げ加工では難しい複雑形状の板金部品も製造可能となります。
また、小型である分製造の難易度があがるため、高度な溶接技術も必要とします。こちらのホッパーには、我々が最も得意としてるTIG溶接で溶接を施しています。
②食品保温用 丸型二重ホッパー
こちらのホッパーには、内側に微細な粉状の材料を投入する際に材料が引っかからないよう、ビードカットという溶接痕の除去加工を行っております。
高度な溶接整形と非常に滑らかなバフ仕上げが求められ、溶接後の微調整も難しいです。さらに、大きい方のホッパーの内面に小さいホッパーを入れ子にして使用するため、それぞれのホッパーの寸法精度も高いものとなっております。
③ジャケット式ミニホッパー
こちらは、L100程度の円錐形状のミニホッパーで、取り外し可能なジャケット構造になっております。
左側のホッパーの内面に右側のホッパーが入れ子になって使用されるため、いずれのホッパーも高い寸法精度に仕上げております。
④粉体充填機用ホッパー
こちらは、粉体充填用のホッパーです。
溶接ビードによる凹凸に微細な粉を滞留させないよう溶接部は全てビードカットを行ったほか、美観性向上のため全面バフ研磨仕上げを施しました。
こちらの製品には全周溶接も施しておりますが、全周溶接ですと製品に溶接熱が溜まってしまうため歪みが生じてしまいます。しかし当社では、板材の切り出しの際に、あらかじめ溶接による歪みが発生することを考慮してレーザーカットにて切り出しを行っています。そのため、溶接後に、寸法通りの製品に仕上がります。
ホッパー・シュートの特注製作なら、小花製作所にお任せください
「ステンレス精密板金・製缶加工センター」を運営する株式会社小花製作所は、ホッパーやシュートをはじめとする三品産業向けステンレス製品の加工実績が多数ございます。
過去に10m以上のコンベヤやフレームなど製造ライン一式を製作した実績もございます。
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