食品・製薬業界において使用されているステンレスタンクは、サニタリー性が高いのが特徴です。こうしたサニタリー性が高いステンレスタンクは、一般に「サニタリータンク」と呼ばれます。
今回は、このサニタリータンクをテーマに、設計~製作・表面処理の各段階においてどういった点がポイントになるのかについて、サニタリータンク製作のプロフェッショナルが解説いたします。



サニタリータンクの特徴

サニタリータンクとは、食品、医療品、半導体などの製造過程において、衛生管理を徹底し、異物や微生物のない清浄状態を維持するために設計されたタンクのことです。

このタンクの最大の特徴は、その高いサニタリー性にあります。

サニタリー性のある製品とは、汚れが残りにくい設計やそもそも汚れが付着しにくい構造をもった製品のことや、容易に分解できることから高い洗浄性とメンテナンス性をもつ製品のことを指します。

また、製品の安全性に影響を与えない材質を用いることや、接液面の表面仕上げとして、バフ研磨と電解研磨を行うこともサニタリー性を高めるためには、重要なポイントになります。

次に、サニタリータンクにおける具体的な特徴や製作におけるポイントについて詳しく解説していきます。

サニタリータンクの設計・製作における13のポイント

1.サニタリータンクの「形状設計」におけるポイント
カールシール

カールシールとは、タンクなどのカールした部分をすき間なく溶接して塞ぐ加工のことです。
全周溶接の一つとされており、カールシールを行うことでカール内部に汚れや洗浄液が溜まりにくいことから、サニタリー性の向上には欠かせない加工とされています。

②半カール

半カールはタンク等の容器の端部を丸めるカールを通常より緩くした加工方法のことです。
縁巻き部のすき間をあえて大きく作ることで縁巻き内部にゴミが溜まりにくく、洗浄しやすくする加工になります。

③切りっぱなし

こちらは、容器の端部の縁巻きをなくした加工のことです。上記のカールシールと異なり、そもそも容器の端部の縁巻きをなくすことで、端部に汚れをたまりにくくするというような加工になります。

④タンク底のR加工

R加工とは、タンク底の角部にRをつけ、内容物の滞留を防いだり、洗浄しやすくしたりする加工のことです。R加工によって底部に曲線を持たせることで、角や溝が少なくなり、汚れや微生物の付着が減少し、サニタリー性が向上します。
また、洗浄する際に関しても、角がないため、清掃性が向上し汚れを完全に落としやすいような構造になっています。

このような理由から、サニタリー性の向上には欠かせない加工になります。
また、R加工は、底部の鋭利なエッジを取り除くため、作業時のケガや製品の損傷のリスクが軽減するというようなメリットもあります。

⑤ヘルール

ヘルールとは、組み付け・分解が簡単で洗浄が容易な継手のことです。ヘルールは工具不要で組み付け・分解ができるため、洗浄などで取り外しの多い部分に使用されます。

ヘルールの配管内部には凸凹がなく洗浄性に優れており、液だまりもしにくいため、異物混入や菌の発生のリスクを抑えます。

このような特長から主にサニタリー仕様の医薬、化粧品、食品関連などで使用されています。

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2.サニタリータンクの「材質選定」におけるポイント
⑥材質にはステンレスを採用

ステンレスは、表面が非常に滑らかで均一なため、細菌や微生物が付着しにくく、付着しても汚れや細菌を取り除きやすいというような特徴があります。
また、ステンレスは非常に耐久性があり、腐食や劣化による破損や変形のリスクが低いです。例えば食品関連の製造であれば、醤油、酢等、タンクが錆びやすい液体にも耐久性、耐食性に優れています。

このような理由から、サニタリータンクの材質には、ステンレスを用いることがポイントになります。

 

3.サニタリータンクの「溶接および溶接前の加工」におけるポイント
⑦バーリング加工

バーリングは成形加工方法の一種で、素材に穴をあけ、その穴の縁を円筒状に伸ばす加工のことです。主に配管の溶接などに利用されますが、この加工により、平面の板金部品に立体的な形状を作り出すことが可能となります。

例えば、穴に対してパイプを突き当てて溶接を行う場合、接合部が直角に仕上がってしまい、配管内部を通る粉体や液体の流れがスムーズにならない場合があります。バーリング加工を行うことで、接合部が立ち上がり、直角な形状を防ぐことができるため、内容物が配管内部をスムーズに通すことができます。

これにより、内容物がたまり、腐食や菌が繁殖することを防ぐことができます。

⑧全周溶接

全周溶接とは、溶接箇所の接合部全体を溶接する方法のことを言います。
特に持ち手の部分に全周溶接を行うことで、洗浄液や調味料が接合部に入り込んでしまうことを効果的に予防することができます。

持ち手の部分をはじめとした、各種接合部に液体が入り込むことによる雑菌などが発生する原因 となってしまいます。
接合部に隙間が開いてしまうことは、サニタリー性を阻害する要因となります。全周溶接を行うことで、溶接個所の隙間を埋めることが可能となります。

また、全周溶接の一種とされているカールシールもサニタリー性を向上させるには有効な加工になります。

⑨裏波溶接

裏波溶接は、表面だけでなく、溶接面の裏面にビードを出したいときに使用される溶接方法です。

裏側への溶接が必要だが、溶接トーチが入らないような場合に行う加工方法で、内側を溶接したように加工を施し、液溜まりや異物混入を防ぐことができます。

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4.サニタリータンクの「仕上げ・表面処理」におけるポイント
⑩ビードカット

ビードカットとは、「溶接ビード」をグラインダーなどで削り、除去することを指します。
「溶接ビード」とは溶接後に接合面がうろこのように波状に盛り上がっているところのことです。

溶接ビードが残っていると、部材の表面に凹凸が生じてしまい、表面上に微細な粉や液体などが滞留してしまいます。

そのような滞留した粉や液体をそのままにしていると、腐食が始まり雑菌などが繁殖してしまう可能性があります。
このような理由から、ビードカットは雑菌の繁殖を防ぐためには必要不可欠な加工になります。

>>ビードカットについて詳しくはこちら

 

⑪酸洗い

酸洗いとは、硫酸や塩酸などのです。酸洗いの主な目的は次の3つです。

①酸化被膜の除去:金属鋼材の表面には、酸化被膜が形成されることがあります。酸洗いによって、この酸化被膜を効果的に除去し、清潔な表面を得ることができます。
②錆の除去:金属鋼材が湿気や酸素と接触することで、錆が発生する場合があります。酸洗いは、錆を取り除くために効果的な方法です。
③表面の清浄化:酸洗いは、金属鋼材の表面から油脂や汚れを除去するのにも有効です。これにより、後工程での塗装やメッキなどの処理が円滑に行えるようになります。

このように酸洗いをすることで、材料の表面を衛生的に保つことが可能です。酸洗いもサニタリー性を高める表面処理の一つになります。

⑫バフ研磨

バフ研磨とは、ステンレス表面仕上げを行う研磨方法の一種です。
バフ研磨を行うことによって、加工工程でのステンレス表面の付着物やバリ・キズを除去することができ、表面が、滑らかになり、衛生的になったり、美観性に優れるといったメリットがあります。

詳しくは下記にて動画でも解説しておりますので、是非ご覧ください!

バフ研磨の様子は下記の動画でも紹介していますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。

 

その一方で、バフ研磨単体だと、目に見えない細かい傷が無数に残ってしまうとされているため、次に紹介する電解研磨と併用して行われることの多い表面処理になります。

>>バフ研磨について詳しくはこちら

⑬電解研磨

電解研磨とは、磨きたい金属を電解液と呼ばれる液体に浸し、電解液に電流を流すことで金属を研磨することです。
金属を電解研磨することで、金属表面の微細な凹凸を除去し表面が滑らかになり、鏡のようにツルツルになります。

また、酸化被膜と呼ばれる膜が金属表面に形成されて、金属が溶けにくくなるというような効果もあります。
電解研磨を行うことで、表面の凹凸がなくなり雑菌がたまるのを防ぐことができるため、サニタリー性の必要な製品には欠かせない加工とされています。

>>電解研磨について詳しくはこちら

 

「ステンレス板金 試作加工センター」のサニタリータンク特注製作

「ステンレス板金 試作加工センター」を運営する株式会社小花製作所は、各種加工から電解研磨まで、上記で説明したポイント全てに対応可能な、サニタリー性の求められる製品の製造に強みのある会社です。

1mを超えるような大型のサニタリータンクの製造も多数行っており、食料品や粉末がタンク内の粗い箇所で詰まったりしやすい、大型の製品に関しても、その製品の性質にあわせた加工が可能なため、ご要望に即したサニタリー性にお応えすることができます。

実際今まで、食品・医療といった三品産業向けのサニタリータンクをはじめとしたサニタリー製品を多数製造してきました。

>>食品・飲料機械業界の製品事例はこちら

>>医療品・製薬機械業界の製品事例はこちら

 

サニタリータンクの特注製作事例の紹介

当社が過去に製作したサニタリータンクをご紹介いたします。

①粉末薬品攪拌用 サニタリータンク

こちらは、医薬品用の材料攪拌タンクです。医薬品を取り扱う製品のため、衛生面の要求精度が非常に高いです。

このタンク内に医薬品を投入し、写真手前の取り付け部が専用の装置に組み付けられ、タンク全体が回転することで、内容物を攪拌する製品となっております。

>>粉末薬品攪拌用 サニタリータンクの詳細を見る

 

②コンタクトレンズ洗浄機向け サニタリータンク

こちらは、コンタクトレンズ洗浄機用のタンクです。
コンタクトレンズを取り扱う製品のため、衛生面の要求品質が非常に厳しいタンク(サニタリータンク)です。

洗浄の際にコンタクトレンズが傷つくことは許されないため、バフ研磨で、表面を高精度に仕上げました。

当社では、専門の研磨職人がバフ研磨を施すことにより、無菌充填機向けホッパーやサニタリータンクにも対応可能な、非常に高い仕上げ品質を実現しております。ご要望に応じて、電解研磨の対応も可能です。

>>コンタクトレンズ洗浄機向け サニタリータンクの詳細を見る

 

③液体充填機用 角型タンク

こちらは、液体を充填するためのSUS304製ステンレスタンクです。このタンクは、へルールで接続するための分岐開口部を多数備えている製品です。

こちらのタンクは変形した長方形の形状ですが、内面の角部分をR形状に仕上げていることにより、隅部分に液体などが滞留しづらいように設計が施されています。

>>液体充填機用 角型タンクの詳細見る

 

サニタリータンクの特注製作なら、小花製作所にお任せください

「ステンレス板金 試作加工センター」を運営する株式会社小花製作所はサニタリータンクやサニタリー配管をはじめとするステンレス製品の加工実績があり、お客様の様々なご要望に対応することが可能です。

サニタリータンクをはじめとする様々なサニタリー性の求められるステンレス製品に関するお悩み・ご相談がございましたら、お気軽に当社までご相談ください。

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