粉体・粒体の処理は、医療や食品業界においては、重要な工程です。その効率性と安定性は、製品・商品の品質や生産性に大きく影響します。本コラムでは、粉体処理をスムーズに行うための重要な要素の一つである「角丸ホッパー」に焦点を当て、その基本的な仕組み、メリット、そして最適なホッパーを選ぶための重要な3つのポイントを解説します。
また、下記記事でもホッパーに関して詳しくご紹介しております。ご一読ください。
粉体ホッパーとは?粉体の流動性を改善する設計・製作のポイントを解説!
角丸ホッパーとは?基本構造と角がないことの重要性
粉体や粒体を一時的に貯蔵し、次工程へとスムーズに供給する役割を担うホッパー。その中でも、角丸ホッパーは、貯蔵部の角が丸みを帯びた形状を持つことが最大の特徴です。一般的な角型ホッパーと比較すると、この形状の違いが粉体処理において重要な意味を持ちます。
角がない基本構造は、粉体の流れを大きく左右します。角部に粉体が滞留しにくいため、ブリッジング(粉体がアーチ状に詰まる現象)やラットホーリング(筒状に空洞ができ、周辺の粉体が排出されない現象)といったトラブルを効果的に抑制します。これにより、安定した材料供給が実現し、生産ラインの停止や手作業による詰まり解消の手間を減らすことができます。
また、角がないことは洗浄性においても大きなメリットを発揮します。角部に汚れが溜まりにくく、清掃が容易になるため、食品、医薬品、化粧品など、高い衛生管理が求められる分野での利用に特に適しています。残留物によるコンタミネーション(混入)のリスクを低減し、製品の品質と安全性を確保する上で、角丸ホッパーの基本構造は不可欠な要素です。
なぜ角丸ホッパーが選ばれるのか?3つのポイント
角丸ホッパーが多くの産業で選ばれる背景には、その形状がもたらす明確な利点があります。特に重要な3つのポイントとして、「スムーズな排出性」「高い衛生性」「省スペースと設計の柔軟性」が挙げられます。
①スムーズな排出性
角丸形状は粉体のスムーズな排出に大きく貢献します。角部に粉体が引っかかることなく、重力に従って自然に流れやすいため、安定した供給と生産効率の向上に繋がります。
②高い衛生性
角がない滑らかな内面は、洗浄性に優れ、バクテリアや異物の付着を防ぎます。これは、衛生的な環境が不可欠な食品や医薬品業界において、製品の安全性を確保する上で重要な要素となります。
③省スペースと設計の柔軟性
角型であるため、円錐型などのホッパーと比較して、設置スペースを有効活用できる場合があります。限られた空間にも設置しやすく、既存の設備ラインへの組み込みも比較的容易です。さらに、排出口のサイズや形状、材質などを、処理する粉体の特性や用途に合わせて柔軟にカスタマイズできる設計の自由度も、角丸ホッパーが選ばれる理由の一つです。これらの利点により、角丸ホッパーは多様な産業分野で効率的かつ衛生的な粉体処理を実現するための有力な選択肢となっています。
当社の製品事例をご紹介!
①医薬品製造機械用 4連角丸ホッパー
こちらは、投入した医薬品の原料となる粉末を4分配できるように、ミニホッパーを連結させた4連ホッパーです。
形状としては、角丸ホッパーにあたるもので、投入口が角、排出口が丸という特殊な形状をしています。そのため、高い板金・溶接技術が要求される製品です。
医薬品の粉末原料がホッパー内面に直に触れるため、滑り性・サニタリー性を考慮し、表面にバフ研磨を施しております。さらに、バフ粉や不純物の付着がNGであったため、電解研磨を実施したうえで納品させていただきました。
②錠剤投入用 角型丸口ホッパー
こちらは、製薬工場で使用される、錠剤投入・排出用のステンレスホッパーです。
角型の投入口から、丸口の排出口に落とし込むような異形状になっています。医薬品が中を通るため、内面の溶接ビード等も、ビードカットを施し、凹凸なく非常に綺麗に仕上げ、内面・外面ともにバフ研磨加工で磨き上げています。また、製品に電解研磨処理という、表面処理を協力会社様にてほどこしており、特に内面を滑らかに仕上げています。
このように当社では、医療、食品などサニタリー性が求められる業界で3万種類以上の板金加工品の製造実績がございます。
当社は、3D設計・溶接・バフ研磨に強みがあります。設計から加工まで一貫して承りますので、ステンレスの板金加工のことでしたらぜひ当社にお声がけくださいませ。