ファイバーレーザー溶接とは、光を熱源とするレーザー溶接の一種です。
ファイバーレーザー溶接はその性質から、高反射材や薄板、融点の異なる異素材同士の溶接に適しています。
ファイバーレーザー溶接とは何か、そのメリット・デメリットにはどんなものがあるのか。
こちらの記事でわかりやすく解説します。



ファイバーレーザー溶接とは

ファイバーレーザー溶接とは、光を熱源とする「レーザー溶接」の一つです。

レーザー溶接は、TIG溶接や半自動溶接などの、母材と電極の間に発生するアーク放電という電気現象を利用するアーク溶接と違い、光を熱源とします。

レーザー技術は、情報通信機器や材料加工・医療・美容といった、さまざまな産業分野を支える技術として広く利用されています。

レーザー溶接には、気体レーザー、固体レーザー、液体レーザー等様々な種類がありますが、ファイバーレーザーは、光ファイバーを増幅媒体とする固体レーザーの一種です。
ファイバーレーザー溶接は、他のレーザー溶接に比べ、高精度で高密度な溶接加工を可能し、アーク溶接に比べ、出力が非常に高いことが特徴です。

ファイバーレーザー溶接の動画

ファイバーレーザー溶接機を用いて、ファイバーレーザー溶接を行っている様子を撮影しました。
実際の溶接の様子を動画でご覧ください。動画は前半と後半があります。

↑ファイバーレーザー溶接機によるファイバーレーザー溶接加工動画(前半)

↑ファイバーレーザー溶接機によるファイバーレーザー溶接加工動画(後半)

ファイバーレーザー溶接のメリット

高強度の溶接が可能

ファイバーレーザー溶接は、ビームの小径スポットとエネルギー密度が高いことに特徴があります。
そのため、局所加熱でTIG溶接に比べ溶け込みが深いです。
溶け込みが深いことから、ファイバーレーザー溶接では、溶接ビードが狭く、高強度の溶接が可能になります。

仕上がり品質が非常に良い

ファイバーレーザー溶接は、局部加熱で溶接をするため、熱による変形やひずみ・溶接焼けが非常に出にくいです。
そのため、仕上がりの品質が非常によく、歪取り等の仕上げ工程の削減が可能になります。

様々な金属の溶接加工が可能

ファイバーレーザー溶接は、波長が短くビーム集光径を絞れることにより、エネルギー密度と、エネルギー吸収率が高いです。
そのため、融点の異なる異種金属同士の溶接や、溶接加工が難しい材料の溶接等、様々な金属素材の溶接が可能です。

他にも、ファイバーレーザー溶接は、非接触溶接のため、電極メンテナンスなどが不要であることもメリットに挙げられます。

ファイバーレーザー溶接のデメリット

ファイバーレーザー溶接は、メリットだけでなく、デメリットもあります。

ファイバーレーザー溶接を行うことにより、スパッタが発生することがあります。
スパッタとは、溶接時に飛び散る金属粒のことです。
スパッタが発生することにより、接合部表面にくぼみができたり、スパッタが固着してしまい、取り除く工程が必要になったり、製品不良を起こしてしまう可能性があります。

ファイバーレーザー溶接を施す際は、スパッタを発生させないために、溶接スピードを落とすなどして、効率性を落とす必要が出てきます。

 

まとめ

これまで見てきたように、ファイバーレーザー溶接には、メリットとデメリットが両方あります。

以上に挙げた特徴から、ファイバーレーザー溶接は、以下のような母材の溶接加工に適しています。

  • 高反射材(アルミ、銅、ステンレス、チタン、真鍮、メッキ材など)
  • 薄板
  • 融点の異なる異種金属

小花製作所では、ファイバーレーザー溶接加工を行っており、ハンディータイプの溶接機を導入しています。
そのため、少量の加工を得意としています。

さらに、ハンディータイプの溶接機をロボットに装着させることにより、量産品にも対応いたします。

また、当社では、ファイバーレーザーのみならずアーク溶接も取り扱っております。

溶接のことで、少しでも気になることがございましたら、「ステンレス精密板金・製缶加工センター」までお気軽にご連絡ください。