ビードカットとは、溶接の際に、接合面に発生するうろこのように波上に盛り上がった溶接ビードを除去することです。
食品や医療などの分野において衛生面に気をつけなければならない際に、ビードカットを行う場合があります。
この記事では、ビードカットについて、必要性、注意点をまとめています。
本記事は設計担当者や購買担当者の方に必ず知っておいて頂きたい内容です。本記事は2・3分で読めますので、ぜひご覧下さいませ!



ビードカットとは

ビードカットとは、溶接ビードをグラインダーなどで削り、除去することを言います。

溶接後に接合面がうろこのように波状に盛り上がっているところを溶接ビードと呼びます。

金属を溶接する際に、頻繁に用いられる方法に、「アーク溶接」があり、この「アーク溶接」は、アーク放電を利用して、金属を溶かすことにより、溶接を行います。
その際、溶接棒と呼ばれるワイヤーを溶かして溶接をしているため、その溶けた分の質量が母材に足されることになってしまい、接合面が盛り上がってしまいます。
この盛り上がった部分が溶接ビードと呼ばれ、溶接ビードを除去する方法がビードカットです。

アーク溶接について詳しく知りたい方は、アーク溶接の基礎知識記事がございますので、ぜひ以下のリンクよりご覧下さいませ。

>>アーク溶接とは? 特徴・種類・注意点を解説!

ビードカットを施す必要性

アーク溶接を行うと、溶接ビードができてしまうということを先述しましたが、なぜ、除去する必要があるのでしょうか。

大きく①美観性②衛生面という2つの観点での理由があります。

①美観性

溶接ビードをそのままにしておくと、溶接部分が盛り上がった状態になってしまいます。
利用用途によっては、溶接ビードをそのままにしても問題のない場合もありますが、
見た目をすっきりと綺麗に仕上げるには、溶接ビードを除去してバフ研磨にて仕上げる場合があります。

バフ研磨について詳しく知りたい方は、バフ研磨の基礎知識記事を、以下のリンクよりぜひご覧下さいませ。

>>バフ研磨とは?その効果や注意点もお伝えします

 

②衛生面

また、衛生面という観点からも、ビードカットを施す必要があります。
というのも、溶接ビードが残っていると、部材の表面に凹凸が生じてしまい、
表面上に微細な粉や液体などが滞留してしまいます。
すると、滞留した粉や液体が腐ってしまい、雑菌などが繁殖してしまうこともあるため衛生上よろしくありません。

 

ビードカットを行った「ステンレス精密板金・製缶加工センター」の製品事例をご紹介

ビードカットは「ステンレス精密板金・製缶加工センター」が得意としている技術の1つです。当社では様々なステンレス板金部品の製造を行っており、食品や医療業界等の様々な業界の設計者の要望に応えてきました。
当社は、3D設計・溶接・バフ研磨に強みがあります。設計から加工まで一貫して承ります。

>>製品事例一覧はこちら

 

ビードカットの事例①:医薬品用攪拌回転タンク

1つ目は、医薬品用の材料攪拌タンクです。
医薬品を取り扱う製品のため、衛生面の要求精度が非常に高いです。

このタンク内に医薬品を投入し、写真手前の取り付け部が専用の装置に組み付けられ、タンク全体が回転することで、内容物を攪拌する製品となっております。

タンク本体だけでなく、接続させる腕パーツなどもすべて研磨加工となっているため、内外面の仕上げ精度の高さが要求されます。
そのため、バフ研磨の仕上げ精度が非常に高いです。当社では、専門の研磨職人がバフ研磨を施すことで、その品質を作り上げています。

また、溶接についても、衛生面の要求に応えられるようにしています。
医薬品材料が接合部に入り込みたまってしまうと、雑菌などが発生する原因となってしまいます。
接合部に隙間が開いてしまうことや、溶接ビードの凹凸は、サニタリー性を阻害する要因となります。
そこで、こちらの攪拌タンクには、全周溶接を施し、さらにその溶接ビードを削って滑らかに仕上げるビードカットを行っています。
薬品を扱う製品のため内部の表面精度が重要になります。

>>医薬品用攪拌回転タンクの詳細を見る

 

ビードカットの事例②:バイブレーション付きシュート

2つ目はバイブレーション付きシュートです。

こちらは、粉体を充てんするための粉体充填機用シュートになります。
医薬・食品業界など幅広く対応可能な製品です。
製品の背中の部分にバイブレーション機能をもつ機械を取り付けており、製品に振動を与えることで、製品に粉が溜まらないような仕組みになっています。
振動で機械が製品から外れてしまわないよう、丁寧な溶接を施し製品にガッチリ固定させております。
溶接ビード(溶接によりできるボコボコしたもの)による凹凸に微細な粉を滞留させない為に、溶接部は全てビードカットを行い、その後バフ研磨で表面を磨き仕上げております。
全面バフ研磨仕上げを施しており、美観性も優れています。

>>バイブレーション付きシュートの詳細をみる

 

ビードカットの事例③:粉体充填機用ホッパー

3つ目は粉体充填機用ホッパーです。
医薬・食品業界など幅広く活用頂けます。

溶接ビード(溶接によりできるボコボコしたもの)による凹凸に微細な粉を滞留させない為に、溶接部は全てビードカットを行い、その後バフ研磨で表面を磨き仕上げております。全面バフ研磨仕上げを施しており、美観性も優れています。また、丁寧なビードカットを行っております。

こちらの製品は、全周溶接を施しております。全周溶接は製品に溶接熱が溜まってしまい、製品に歪みが生じてしまいます。ですが、当社では、板材の切り出しの際に、あらかじめ溶接による歪みが発生することを考慮してレーザーカットにて切り出しを行っています。そのため、溶接後に、寸法通りの製品に仕上がります。

>>粉体充填機用ホッパーの詳細をみる

 

まとめ

ビードカットについてご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか?ご紹介させていただいた内容を簡単にまとめさせていただきます。

・ビードカットとは、溶接の際に、接合面に発生するうろこのように波上に盛り上がった溶接ビードを除去すること。

「ステンレス精密板金・製缶加工センター」では、ビードカット以外にも多数の基礎知識記事を公開しております。
ここでは、ビードカットを行う前の溶接段階で行うことが多い裏波溶接の記事についてご紹介致しますので、ぜひ以下のリンクよりご覧下さいませ。

>>裏波溶接とは?特徴・注意点・溶接方法を解説!

「ステンレス精密板金・製缶加工センター」では、少量多品種の板金加工、施策を得意としています。そのため、お客様の要望に丁寧にお応えし部品を加工、制作しております。
ステンレス板金加工に強みを持っており、図面をもとにプログラムから材料切断、曲げ、溶接、表面処理を一貫加工しております。

ステンレス板金加工についてお悩みがございましたら、是非一度お問い合わせください。

 

また「ステンレス精密板金・製缶加工センター」では、ステンレス溶接やその他溶接によって作られた部品の製作実績をまとめたレポートを無料で提供いたしております。
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